「制度あり・実績なし」の賞与をどう確認するか
求人票の賞与の欄に「賞与制度:あり」と書かれていても、その下の「前年度実績:なし」となっていることがあります。昇給についても同じです。この記事では、賞与や昇給の記載をどう読み、何を確認すればよいかを整理します。
賞与・昇給は「必ず書く項目」ではない
求人を出すときに明示が求められる項目は、職業安定法施行規則で決められています。賃金の額はその一つですが、賞与などの臨時に支払われる賃金は、明示が必須の「賃金の額」から除かれています。そのため、賞与や昇給について書かれていなくても、それ自体は法令上の不備ではありません。
一方で、事業所に常時10人以上の労働者がいる場合、賞与などの臨時の賃金の定めをするときは、就業規則に記載する必要があります(労働基準法89条)。賞与の支給の有無や基準は、就業規則で確認できることがあります。
「制度」と「実績」は別のこと
ハローワークの求人票では、賞与と昇給について「制度の有無」と「前年度の実績」が別の欄になっています。
- 制度あり・実績あり:例「賞与 年2回 計2.08か月分(前年度実績)」。前年度に実際に支給された回数や金額・月数が分かります。
- 制度あり・実績なし:制度としてはあるものの、前年度には支給されなかったことを示します。業績によって支給されない年があった場合や、設立されたばかりで実績がまだない場合などが考えられます。
- 制度なし:賞与の制度そのものがありません。その分、月給が高めに設定されている場合もあります。
民間の求人サイトでは、「賞与あり」とだけ書かれ、回数や金額が書かれていないことも多くあります。また、「前年度実績 16万円〜185万円」のように、幅が非常に広く書かれている場合もあります。
実績が書かれている場合の読み方
実績が書かれている場合も、書き方によって意味が変わります。
- 「計2.08か月分」:月数で書かれている場合、何の何か月分か(基本給か、月給か)を確認すると金額に直せます。多くは基本給が基準です。
- 「計80,000円」:金額で書かれている場合は、そのまま年間の目安になります。
- 「16万円〜185万円」:幅が広い場合、役職や評価、勤続年数によって大きく異なることを示しています。自分の立場ではどのあたりになりそうかを聞いてみるとよいでしょう。
- 「評価による」「業績による」:毎年同じ額が支給されるとは限らないことを示しています。
面接で確認したいこと
- 直近の年度に、実際に賞与が支給されたか。支給された場合、何か月分程度だったか。
- 支給の基準(会社の業績、個人の評価、勤続年数など)は何か。入職1年目は支給の対象になるか、満額か。
- 「寸志」と書かれている場合、おおよその金額はどのくらいか。
- 昇給の実績(前年度に何円・何%上がったか)と、昇給の時期。
年収で比べるときの計算の例
月給だけを見ると差が大きく見える求人も、賞与を含めた年収で比べると順位が入れ替わることがあります。
- 求人A:月給22万円、賞与は前年度実績で年2回・計2か月分(基本給18万円の2か月分=36万円)<br>→ 22万円×12か月+36万円=300万円
- 求人B:月給24万円、「賞与あり」(実績の記載なし)<br>→ 実績が分かるまでは 24万円×12か月=288万円 として見ておく
この例では、月給はBの方が2万円高いものの、賞与の実績が分かっているAの方が年収では上回ります。賞与が「基本給の○か月分」と書かれている場合は、月給ではなく基本給に月数をかける点にも注意してください。
賞与の実績が書かれていない求人は、確認するまでは月給×12か月で見ておくと、実際との差が小さくなります。
本サイトの確認ツールでは、賞与・昇給について実績の記載があるか、「制度あり」だけか、記載がないかを表示します。実績の記載がないことは、支給されないことを意味するものではありません。
出典
- 職業安定法施行規則(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012
- 労働基準法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049